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■大人向け名作おすすめアニメランキングベスト10■
むかしアニメといえば、私たちの親世代や大などからは口を揃えて"小さな子供が見るものだ"と一括りで片付けられていました。ですが現在は大人が視聴しても十分楽しめる作品や、はじめから大人向けとして作られたものも数多く存在します。さらに私たちが子供の頃に見ていたアニメを見返してみれば、今でも十分視聴に堪えうるものや、実は大人向けだったのかと思われる名作がたくさん有ることに気付かされることでしょう。
そこで今回は「大人向け名作おすすめアニメ」と題し、ハードボイル(冷酷非情)であったり、ハードボイルド風味な10作品をランキング形式で紹介させて頂きます。簡単ではありますが、作品紹介と共に感想なども記載致しましたので、よろしければそちらも併せてご覧頂けるとうれしいです。
■10位『寄生獣 セイの格率』
「原作が1988年発表のため、現在の社会風潮に合わせたデザインや設定での放映となりました。」
『寄生獣 セイの格率』アニメ制作:マッドマックス
2014年10月~2015年3月(全24話)日本テレビ系にて放映。
※原作漫画タイトルでは「寄生獣」のみ。
「最初は不気味だと思っていたミギーが、何時しか愛嬌あるキャラクターに見えてきます。」
右手に正体不明の生物(ミギー)が寄生してしまった高校生・新一が、人間を捕食するその寄生生物との戦いに巻き込まれる中、何時しかミギーとは奇妙な友情を深めながら成長してゆく物語り。
"人間の脳を奪った(喰らった)パラサイトたちが次々に人間を襲い捕食をする。"
そんな設定を踏まえているため、作中では残虐なシーンや表現が多く登場します。同時に当時(1980年代)大きく取り沙汰されていた、地球汚染や環境問題にも言及した社会派作品でもありました。
ですがその根底には、人が人として生きる意味や親子の情愛といった、人間本来が持つ"やさしさ"などが深く描かれた名作です。そして敵を倒すことに冷酷非情であったミギーが、徐々に新一の影響を受け、寄生生物でありながら"人間らしさ"を持つようになるのも見所の一つでした。
アニメ「寄生獣 セイの格率」は、26年もの時代を見事に乗り越え、大人の視聴にも堪えうる作品へと仕上げられています。今回のランキングでは10位としましたが、原作を読まれた方や本作を未視聴の方にも、是非とも見て頂きたい大人向けの名作です。
■9位『宇宙兄弟』
「第一期OPで地面を踏みしめ跳ぶ幼い頃の兄弟、そして宇宙へと飛び立つロケットには高揚感が沸き立ちます。」
『宇宙兄弟』アニメ制作:A-1Pictures
2012年4月~2014年3月(全99話)日本テレビ系列にて放映。
主題歌にはユニコーンやスキマスイッチ、そして真心ブラザーズといった有名アーチストを多く起用しました。
「エンディングはアップテンプやしっとり目と色々ですが、どれも大人向けな曲調でした。」
幼い頃に南波六太と弟の日々人はUFO目撃を切っ掛けに、宇宙飛行士を目指すと誓い合います。ですが19年後の2025年、弟は夢を叶え宇宙飛行士に、一方兄の六太は勤めていた会社をクビに……。道を違えた兄弟が、何度も挫折を繰り返しながらも一緒に描いた"夢"へと向かい、今度は共に歩み出す物語り。
産婦人科で生まれる時から、何事にも"ツイていない"兄・六太と何かを"持っている"弟・日々人。対照的な2人ではありますが、六太は弟にコンプレックスを持ちながら誰よりも日々人を大事に思い、そして日々人もそんな兄を幼い頃同様に思い・慕っていたのです。作中ではALSやパニック障害といった疾患や、リストラや引き篭もりなどの「憧れや夢」以外の「非情な現実」も描かれており、まさに大人向けの名作でした。
また多くの人が"夢"で終えてしまう「宇宙飛行士」ではありますが、本作ではその夢を現実とさせた「本物の宇宙飛行士」として野口聡一さんなど多数登場したうえ、宇宙ステーションからのアフレコなども世間をわかせました。
■8位『宝島』
「壮大な音楽と共に力強い歌声と歌詞の雄大さには心が震えます」
『宝島』アニメ制作:東京ムービー新社
1978年10月~1979年4月(全26話)日本テレビにて放映。
音楽は日本を代表する作曲家・羽田健太郎さん。
※1987年TV総集編的内容の映画化・1992年に短編OVA化。
「子供の頃シルバーに憧れて現在大人になった方も多いのではないでしょうか」
1883年にイギリス作家が書いた海洋冒険小説を元に制作されたアニメーション。
死んだ父親と同じ船乗りを夢見ていた少年ジムが宝の地図を見つけ、謎の片足のコック・シルバーらと共に宝島を目指す物語り。
作中には魅力的なキャラクターが多く登場しますが、主人公のジム以外は殆どが"大人の男たち"である船乗りでした。特に強く男気のあるシルバーはジムの憧れであり、彼から多くのことを学びます。そんなシルバーの背中には何時も、ハードボイルドな男の哀愁が漂っていました。
最終回では10年後の2人の姿が描かれ、逞しい青年となったジムと銀髪から白髪へと変わったシルバーとの対比には、それぞれが生きた年月や思いさえ画面から伝わります。
こうして40年近く経った今でも色褪せない「宝島」は、子供向けというだけでなく、実は大人向けアニメであったのかもしれません。なのでランキングも堂々の8位に。
■7位『トライガン』
「OPの軽快な音楽と共にコミカルに動くキャラクター達に魅せられます。」
『TRIGUN(トライガン)』アニメ制作:マッドハウス
1998年4月~9月(全26話)テレビ東京にて放映。
※2010年4月に劇場版「TRIGUN Badlands Rumble」公開。
「主人公ヴァッシュが貫き通した"不殺"に当時は一部ファンから物議を醸しました。」
地球から遠く離れた惑星で、「人間台風H.T.(ヒューマノイドタイフーン)」と呼ばれる600億$$(ダブドル)の賞金首ことヴァッシュ・ザ・スタンピートが、銃を片手に大暴れする物語り。
軽快なトークやコミカルなキャラクター、そしてギャグも多目な「トライガン」。ですがその端々に散りばめられたものは、愛する者を失った悲しみや、誰かを守ろうとするやさしさ、それらに溢れた作品です。また人気キャラでもあったウルフウッドなどは、牧師でもあった彼の背に担ぐ十字架型の武器"パニッシャー"同様に、暗殺者としての重い十字架を背負い続けたまさにハードボイルド、そんな大人の男でもありました。
■6位『BLACK LAGOON』
「男性キャラよりも多くの女性キャラが拳銃やライフル担いで元気に暴れまわる作品です。」
『BLASK LAGOON』アニメ制作:マッドハウス
第1期:2006年4月~6月/第2期:10月~12月(全24話)UHT各局にて放映。
※2010年7月~2011年6月にOVAが5巻発売。
「メイド服を翻しながら無骨な火銃器を振り回すロベルタは、本作一番の人気キャラクターです。」
架空の都市ロアナプラを舞台に、奇妙な縁で運び屋・ラグーン商会の仲間になった主人公ロック(岡島録郎)と、二挺拳銃(トゥーハンド)の呼び名を持つ本作ヒロインでありもう一人の主人公レヴィとが繰り広げるハードボイルド・ガンアクション。
ラグーン商会は"運び屋"ですので、依頼金さえ払えばどんな手段や危険を犯してだろうと、それこそ違法な物や人や面倒ごとでも運びます。なので作中において人身売買や武器の取り引きが行われ、マフィアやヤクザなどが大挙登場してしまうのです。さらに本作は超ハードボイルドなガンアクションですので、悪人も政治家も例え子供でさえもが、理不尽かつ同等の死が描かれます。特に双子のヘンゼルとグレーテル姉弟(兄妹)の最後は印象的で、アニメで描かれた青い空と対照的な赤い血を流す少女の姿には胸が詰まされました。
■5位『MONSTER』
「暗く重厚な曲が流れるOPは、どこか神聖な雰囲気さえ感じられました。」
『MONSTER』アニメ制作:マッドハウス
2004年4月~2005年9月(全74話)日本テレビ他にて放映。
音楽は「世にも奇妙な物語」などでも有名な配島邦明さん。
「人生を弄ばれたどころか、この世に生まれることさえ仕組まれてしまった双子のヨハンとニナ。物語りはこの兄妹を中心に動きます。」
天才脳外科医テンマ(天馬)は、西ドイツ(1986年当時)の病院にて頭を銃で撃たれた少年ヨハンを救います。それから9年後、ヨハンを救ったことで失脚したテンマの元に美しい青年として成長したヨハンが現れ、目の前でテンマの患者を射殺。殺人の濡れ衣を着せられたテンマは、ヨハンの妹アンナと共に殺人鬼であるヨハンを追跡するのでした。
複雑な原作コミックスを忠実に再現するため、アニメも全74話と深夜アニメでは珍しい1年半もの長期放映です。また殺人や射殺シーンなどが大変多い作品でしたが、物語の奥深さやシナリオのお陰か、全体的な完成度の高さの方が際立ちあまり気にはなりませんでした。
人を救うための白い手のテンマが、ヨハンを止めるため銃でその手を黒く染めてゆく。サスペンスとハードボイルド、そしてヒューマンドラマが混在した大人向けのアニメ。丁寧な作画と重厚なシナリオとを兼ね備えた名作です。
■4位『峰不二子という女』
「OPの倒錯した美しさを持つ映像と追い詰められるかの音楽、そして隠微なナレーションに惹き込まれます。」
『峰不二子という女』アニメ制作:TMS(トムス・エンタテインメント)/Po10tial
2012年4月~6月(全13話)テレビ東京系列にて放映。
※TVアニメ「ルパン三世」第1シリーズ放送開始40周年記念作品。
「EDの曲はそのままで前期が大人の不二子、後期は子供の不二子(?)が登場しました。」
ルパン三世に登場する女盗賊、峰不二子を主人公にした、いわゆるルパン三世の"スピンオフ"作品。今作は成人向けであった原作漫画をリスペクトしたためか、深夜アニメとはいえエロティックでアダルトな作風となっています。さらにデザインなどかなり前衛的で、暗く陰鬱な画面の中にサイケデリックな色合いがとても印象的でした。
作品の中でで不二子は、幼い頃の記憶に酷く苦しめられます。全13話の中に不二子の記憶の謎や、彼女に付きまとう"梟"など、全体的に見ればアクション以上にサスペンスやサイコ色が強いかと思われます。そこに何時ものルパンや次元たちが加わることで、一気にハーボイルド色が濃くなりました。
退屈な日常から逃げしたい大人たちへと、新たな刺激としてのエロスやサスペンスを与えてくれる大人向けアニメ、それがこの「峰不二子という女」ではないでしょうか。
■3位『コブラ』
「原作の寺沢武一先生が描かれる、強くセクシーな女性たちが魅力的な作品です。」
『スペースコブラ』アニメ制作:東京ムービー新社
1982年10月~1983年5月(全31話)フジテレビ系列にて放映。
※1982年7月に公開された劇場映画「SPACE ADVENTUREコブラ」では歌手の松崎しげるさんが、TV版では有名声優・野沢那智さんが主人公コブラの声を担当されました。
『COMRA THE ANIMETION』アニメ制作:マジックバス
2010年1月~3月(全13話)BS11デジタルにて放映。
※2008年「ザ・サイコガン」4巻/2009年「タイム・ドライブ」2巻のOVAが発売。
「旧作アニメのコブラも無論、魅力的です。」
1970年代に週刊少年ジャンプで連載された、寺沢武一先生の同名人気作をアニメ化したもの。左腕にサイコガンを持つ宇宙海賊コブラが、相棒のレディと共に海賊船タートル号を駆使し大暴れする物語りです。
主人公のコブラは、強靭な肉体と不屈の精神力を持つナイスガイ。元はハンサムな自分をわざわざ整形し、今の三枚目半な顔にしてしまいます。ですがコブラは、作中にて登場する多くの美女たちに大変モテました。特に"刺青の女"とも呼ばれる美しい三姉妹の1人銀河パトロールのドミニクは、原作以上にアニメでは何度もコブラと関わった女性です。またコブラの相棒でもある女性型アーマロイドのレディは、人間の女性ではありませんでしたがファンも多く人気です。
何時も葉巻を燻らせて、血と硝煙の匂いが似合う男コブラ。ハードボイルドを体現したそのキャラクター性は、まさに大人向けの超娯楽アニメでした。
■2位『カーボーイビバップ』
「ジャズテイストの軽快な音楽と共にキャラクターがカッコよく登場します。」
『カーボーイビバップ(COWBOY BEBOP)』アニメ制作:サンライズ
1998年1月~9月(全26話中12話分+総集編)テレビ東京にて放映。
1998年10月~1999年4月(全26話+総集編)WOWOWにて放映。
※2001年9月に劇場映画「カウボーイ ビバップ 天国の門」が公開。
「個性的な登場人物が多数登場し、ストーリーや有名声優の演技でさらにキャラクターの魅力が増しました。」
2071年の太陽系を舞台に、宇宙船"ビバップ号"で賞金稼ぎをする主人公のスパイクやその仲間たちの物語り。タイトルの「ビバップ(ジャズの一種)」通りに、作中ではジャズやブルースなど多岐に渡った音楽を使っていました。
普段はやる気なくニヒルなスパイクですが、かつてはチャーニーズ・マフィアの組織「レッドドラゴン」に所属し、右目の義眼と共に彼の過去は多くの謎に包まれています。またスパイクの相棒ジェットは、以前は警察組織に所属し、とある事件で左腕が義手となってしまいました。
他にもこうした過去や負い目を持つキャラクターが登場し、お話は軽快に、そして大人の深みを増すように進んで行きます。ところが残念なことに、地上波であるテレビ東京では全26話中たった12話分しか放映しなかったため、ファンは物語り半ばで続きを諦めなければいけませんでした。
12話以降は硝煙漂うハードボイルドな雰囲気と、大人の男のカッコよさが十二分に描かれており、全体を通してもやはり名作でおすすめアニメです。ランキングは堂々の2位。
■1位『攻殻機動隊』
「攻殻機動隊の英語表記"GHOST IN THE CHELL"は原作の士郎正宗さんが元々付けようとしていたタイトル。」
『攻殻機動隊』アニメ制作:ProductionI.G
2002年「攻殻機動隊STAND ONE SOMPLEX(S.A.C.)」(全26話)
2004年「攻殻機動隊S.A.C.2nd GIG」(全26話)
2006年「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C.SSS)」(全1話/パーフェクトチョイス)
※劇場版など詳細は多数有るため割愛させて頂きます。
「2nd GIGのOPは曲も映像も大変カッコ良く、何度見ていても飽きません。」
科学技術が飛躍的に進歩した21世紀の日本を舞台に、テロに暗殺などの犯罪被害を被害を防ぐため組織された公安9課こと通称"攻殻起動隊"の活躍を描いた物語。
脳神経に直接アクセス出来る電脳化やサイボーグ(義体)技術により、電脳世界を介して起きる事件などが多数起きるようになります。それらを当時の最先端技術で映像化し、アニメ作品として作り上げたのがこの「攻殻機動隊」なのです。
主人公の草薙素子は、幼い頃に脳と脊髄の一部のみを残し全身を義体化(サイボーグ化)しています。女性ながらに公安9課の実質的リーダーでもあり、冷静沈着な性格のうえ的確な判断力や統率力、そして高い戦闘能力と義体制御能力を兼ね備えています。体(義体)は9課の中では小柄ですが、屈強な肉体を誇る男たち以上の戦いを素子はしてみせるのでした。また同僚のバトーなどは、見た目やサイボーグ化した大きな体とその性格に話し方、つまり彼の設定のどこをどう見ても"ハードボイルド"の塊のようなキャラクターです。特に映画「イノセンス」においては、彼の無骨な素子への思いも描かれ魅力的でした。
いかがだったでしょうか? 以上が筆者の独断で選ばせて頂きました「大人向け名作おすすめアニメランキングベスト10」です。
アニメが市民権と得たと言われてから随分と年数が経ちました。そしてその間にも、映像技術や画力以上に、大人向けの深みある物語やコンセプト作品が増えたように思えます。そしてキャラが背負う哀愁や非情とも呼べる"ハードボイルド"は、言葉で語られたり目には見えなくとも、何時の間にか私たちの心へと訴えかけていたはずです。
今まで何気なく見ていたアニメも、実はその奥にハードボイルドが隠されていたり、大人向けの名作だったりするのかもしれませんね。